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2006年9月20日 (水)

解りやすい数学

文系なので解りやすく教えてというのは数学に関する質問をするときの常套句になってしまっているけれども、はっきり言って、本物の数学というものは解りやすく教えられるほど簡単なものぢゃないんだよ。

所定の定義からの論理的導出のみによってすべての議論が進められるという本物の数学は、不幸なことに大学の専門課程ぐらいでしか教えられていない。中学高校にも数学と称する教科はあるけれども、本物の数学とは言いがたい。

確かに、数学の持つ論理性・厳密性は難しい。そんな難しいものを小さな子供に理解させるのは無理だから、小学校・中学校の算数・数学は厳密性を欠いた感覚的・直感的理解に頼る部分が多い。高校レベルの数学はだいぶ厳密になってくるが、感覚的思考を完全に排除しているわけではない。つまり、一般的な文系の人間が学ぶ「小学校の算数」+「中学校の数学」+「高校の数学の一部」では、純粋に論理的な本物の数学に触れることがない。ゆえに、本物の数学に触れる機会のなかった人 (文系とは限らない) は、よくこういう誤解をする。数学はある程度は感覚によって理解できるものである、と。

数学の論理を感覚的に考えることを完全に否定しているわけではない。ただ、感覚的思考による理解は厳密な論理的思考を容易にするための手段でしかないのだ。あることが感覚的に理解・納得できたとしても、それは本当の意味で理解・納得したということにはならない。厳密な論理的結論は、厳密な論理的思考によってしか導き出せないのだ。

ついでに、これもよくあることだが、定義そのものについてその理由を聞いてくる人がいる。例えば「マイナス×マイナスはなぜプラスになるのですか」という感じだ。これに対する数学的な答えは「そのように定義したから」となる。マイナス×マイナスはプラスになると定義したからマイナス×マイナスはプラスになる、ということだ。しかし実際にそのように答えるとそんな答えぢゃ納得できませんといって更にありもしない答えを求めてくる人が多いから困る。もちろん、定義は人間が恣意的に決めたものだから、「なぜそのように定義したのか」を問うことはできるのだが、それに対する答えも「直感に一致しているから」とか「例外が少なくてすっきりしているから」とかありきたりなことしかいえないから、やっぱり引き下がってくれない。こうなるともうお手上げだ。

——あまり取りとめのない文章になってしまったが、とにかく言いたかったことは、文系と称する人間は数学の本質を知らぬがためにとにかく直感的にわかりやすい説明を求めてくる傾向があるが、はっきりいってナンセンスである、ということだ。

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