既存の規格の拡張では漢字コード問題は解決しない
asahi.com(朝日新聞社):日本IT界の鬼っ子「外字問題」解消を 経産省が着手 - 社会
相変わらず、この業界はやっていることがしっちゃかめっちゃかだな。
戸籍の取り扱いだの何だのというが、結局ここでいう「外字」が問題となるのはせいぜい人名や地名などの固有名詞を取り扱うときぐらいに過ぎない。普段新聞を読んだり文書を書いたりするときに使う漢字は現在の JIS 規格あるいはユニコードの範囲で足りている。人名にしても、「下の名前」の方は法律で使える漢字が制限されており、常用漢字・人名用漢字でない漢字は JIS 規格やユニコードにあっても使えない。たまにしか使わない固有名詞のためにいちいち漢字を追加するよりも、そもそも役所で扱う全ての漢字を常用漢字・人名用漢字のように制限・統一してしまった方が楽だということになぜ気付かないのだろう。
大体、今コンピュータで一般的に使われている漢字コード体系は、字の区別と字体の区別との区別がきちんとできていないせいで異体字を体系的に扱いづらい。JIS 規格が最初にできたときからそうだ。JIS 規格に第二水準、第三水準などと漢字を追加する改訂を行った際も、ただ新しく漢字に番号を付け加えるだけで、体系的な再編は行われなかった。互換性という名目の下に、悪い設計をずっと昔から引きずっている。そのせいで、印刷標準字体やら何やらといった字体の問題が数年前にあったときも、JIS 規格の上では結局場当たり的な対応しかできなかった。(そもそも JIS 規格の制定作業が国語審議会の活動と連携していないのがいけない。)
よく使われている文字コードといえば JIS 規格の他にユニコードがあるが、ユニコードの漢字は CJKV 統合漢字と称して漢字を使う各地域の既存の漢字コードを無理やり一つにまとめたものになっている。元になっている JIS 規格の設計が悪い上に、それをさらに別な規格と混ぜ合わせたものだから、ユニコードの漢字は規格として JIS よりもさらにひどいものになっている。で、経産省のプロジェクトやらではプロジェクトの結果をユニコードに反映させるなどというが、これ以上ユニコードに何かしたところでユニコードをさらなる混乱に導くことしかできまい。そもそもユニコードには日本以外の地域の漢字も含まれているのに、日本国内に閉じたプロジェクトの結果を反映させてどうするというのか。(もっとも、最近のコンピュータは JIS 規格からユニコードへの移行が進んでいるので、取り敢えず結果を実用できるようにユニコードに入れようと考えるのは解らなくもないが。)
| 固定リンク

コメント